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サガン鳥栖原理主義者から愛好家へ転身した30男のblog
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友人の"もうサガン鳥栖興味ないと思ってました"と言われたので久々にサガン鳥栖ネタ。
しかも先週末は新戦力の活躍で勝ったのにネガティブな超長文ですww

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サガン鳥栖は他のJ2チームより客観的に見て戦力が充実し、中位以上、上位未満程度とは言える状況になってきました。しかし、サッカーの質の面に根本的な問題を抱えており、今年は島田と言う良質のキッカーを得た事で逆にその問題が顕著に見受けられる状況になっていると考えています。

まずは昨年の鳥栖サッカーをごく簡単におさらいします。

簡単に言うと、昨季の鳥栖は藤田のチームでした。
藤田が前線からプレッシャーをかけつづける事でディフェンスからのビルドアップ精度を落とさせて、前線でボールを奪うのが根本にあり、藤田はそれを90分間こなしながらもしっかりとFWの役割である得点にも絡み、ポストも無難にこなし、この事によって藤田に注目が行く事で他の選手も攻撃に絡みやすくなる、と言うのがサガン鳥栖サッカーの全てでした。
藤田に頼るということは藤田の出来に影響を受けるという事でもあり、他に選手は居ても活かせない(特にシンヨンさんはかわいそうだった)サッカーであり、保有戦力を活かしきれていればもう少し上の順位もいけたのでは?という疑問もありました。

その鳥栖から藤田が抜けました。
話はそれますが藤田については2006年当初から見てきて最初は通用しませんでしたがシーズン後半には充分に戦えるようになりました。特に「こいつはイイ!」と思ったのはシーズン終盤の佐賀陸での柏戦。ポストとして十二分に役割をこなし得点にも絡めるようになり一緒に見ていた友人たちと"藤田良くなってきたね〜”なんて話していました。2007年、2008年はサガン鳥栖の大黒柱として十二分な働きを見せてくれました。そういえば移籍の際にお礼を言ってなかったので「藤田本当にありがとう」とこの場で書いておきます。


で、藤田不在の2009年版サガン鳥栖。

藤田は抜けましたが経験豊富な山卓、柳沢、磯崎に加え待望のフリーキッカーである島田を獲得し、FWにはブラジル全国リーグ等での実績こそありませんがネットの動画を見る限りはやわらかい足元でのポストプレーと一瞬の切れでマークをはずしてのヘディングが出来る期待が持てるトジンを獲得。
他にも新卒で有望株と見られる数選手を獲得し正に昇格を狙う陣営が整ってきた感がありました。
他チームも強力・的確な補強をしており特に実績ある監督が多い事から昇格争いは厳しいですがそれなりに上位争いには絡めるだろう、という甘い見込み(=希望的観測)をもって開幕を楽しみにしておりました。


しかしふたを開けると今シーズンもサガン鳥栖のサッカーは"藤田不在の"藤田サッカーでした。
とりあえず他の選手は置いておいて所謂"藤田"役に絞って言うと、池田は必死にやっていますが06年最初の藤田に毛が生えたレベル。トジンはトジンが持つ能力が藤田のそれとは方向性が違うのか全く活かせていない。池田には池田のよさ、トジンにはトジンのよさがあるはずで(トジンは合流が遅れたエクスキューズがありますが)「まず鳥栖のサッカーを覚えてもらう」というのは良いですが、昨年までの鳥栖サッカーは誰が見ても藤田あってのサッカーだったので、鳥栖のサッカーの根本は藤田が居なければ変えなければならなかったのです。
しかし、昨年の"成功体験"と言うのは3年生監督には大きかったのか、監督はキャンプ中も藤田サッカーを追い求めていたようです。このため、サガン鳥栖は開幕から中々波に乗れ無い状況が続きます。

そしてあれよあれよという間に1stクール終盤の14節福岡戦からの4試合、本当にこの4試合は酷かったです。題名にも書いていますが全く得点の香りが無いのです。開幕当初より状態は悪化しているのです。"チームとして"得点する気があるかどうかわからないっていう試合を、特に中心選手が離脱した訳でもなく、既に10試合以上消化しているにも関わらず4試合、半月以上4試合に渡って続けるという事は、何か根本的な問題がサガン鳥栖に有るのではないでしょうか?

サガン鳥栖のサッカーの最も悪い所は島田がボールを持ったときに現れます。
島田が悪いわけではありません。島田は一生懸命やってくれています。しかし島田がボールを持つと鳥栖の攻撃は止まります。正確には鳥栖の選手の動きが止まります。
まず島田より前に居る選手。動き出しがある場合はまだいいです。みんな前に突っ込んでますが。。。酷いときはみんな島田が何処に出すかを見ています。
たしかに島田は正確にボールを蹴れますが、前の選手に効果的な動きをしてスペースを造るような動きやボールを引き出す動きは殆ど見られません。他の選手からは島田がボールを持った事での一種の安心感が感じられます。彼は正確なボールを蹴ってくれるから何とかしてくれるはず。。。そんな空気を感じます。私だけかも知れませんが。島田は万能ではありませんので、ボールを持ったときに効果的な動きをしてくれないと出しどころがありません。
 では島田より後ろに居る選手は?これも最近の試合で顕著ですがボール保持者が島田かどうかに関わらず、ボールを持った選手を追い越す動きは試合を重ねるごとにどんどん減っていきます。特に島田がボールを持ったときは顕著です。島田なら何とかしてくれる。。。ここにもそんな空気が感じられます。これは同サイドDFの磯崎に対する非難がネットで散見される事から皆感じているのかも知れません。
 しかし磯崎一人ではなく、FWも周りの選手もみんな島田が持つと動かないのです。もし動いたとしても、それは単調な前への動きだけです。
皆島田なら何とかしてくれる、という空気があります。これではどんなに高い精度のキックを持っていても蹴る所が無く、どうしても放り込みが多くなってしまいます。

 確かにチームとしてはクロス数はリーグトップクラスかもしれません。しかしそれらが効果的なクロスボールかどうかは疑問符がつきます。そしてスペースを作る動きであったりボールを引き出すような動きであったりが少ないため、相手が準備できている状態でのクロスになり、得点になるようなチャンスは殆ど生まれません。このような状況ではチームに勝利の展望は見えないのではないでしょうか。

あるDFは開幕直後の試合後にこういいました。「もっと前から守備をして欲しい」そして勝利した試合でその選手は「今日は前から守備してくれたので良かった」と言う事を言っていました。これは確かにそうで、守備だけを考えた場合、前線のプレスでかなり助かるでしょう。しかし前線に居る選手は相手ゴールに近くに居る以上、主目的は攻撃を担う事になるはずです。
藤田の場合、守備も攻撃も出来ました。しかし藤田が居ないという事を考え、別のやり方をすべきなのに選手は藤田が居たときのサッカーが"良かった"と感じているわけです。
これは監督の方針が浸透しているという面では良い事なのかも知れませんが、浸透しすぎて本来の目的を見失っているのではないでしょうか。

サッカーと言うゲームの最大の目的は何でしょうか。

答は簡単、ゴールを相手より多く決めて勝つ事です。

しかもサガン鳥栖はリーグ戦を行い、昇格を目指しているとチームが(会社・サポーターも)公言しているのですから、一試合を勝つのではなく、1年を通して勝ち続けなければなりません。
では勝ち続けるには何が必要でしょうか?
負けないサッカーで健闘を続ける、と言うのであれば全員プレスで0点に抑えるというのを主題に置いて良いかもしれません。実際にその事によってサガン鳥栖のサッカーに一つの型が出来ました。それが昨年までの藤田を中心とした前線からプレスですばやくボールを奪い、前で攻めるという型です。それは有る程度までは通用し勝ち点を積み上げました。しかし上位には通用せず、藤田の調子が悪いor居ないときにどうするかと言う問題もありました。その藤田が完全に居なくなったにもかかわらず、そして勝ち続けるためには他の事も必要と言う事が昨年までの経験で判ったにもかかわらず、結局選手たちがピッチでやっているのは藤田不在の昨年の鳥栖サッカーです。
ボールを奪うという面では今の所属選手でもそれなりに出来ますすが藤田が居ない以上攻撃は期待できません。あれだけ守備をしその上で得点を積み重ねると言うハードワークが出来るFWは日本国内でもごく僅かだからです。

 監督は監督コメントで「スイッチが何処にあるかわからない」と言いますが、スイッチを作れていないだけではないでしょうか?
 ボールを奪うコンセプトしか無いチームに「ボールを運ぶ」「ゴールを決める」というスイッチを作るのは監督・コーチ陣の役目であって、決してスイッチが何処にあるかわからない等と嘆く事が監督の役目ではないのです。監督・コーチ陣は「ボールを奪い」「ボールを運び」「ゴール奪う」という3つの型を作れないまでも示す必要があります。特に昇格を目指すのであればしっかりとした方法を示すべきです。そして少なくともその方法について裏づけを作る(練習を行う) 必要があります。それがリーグ戦を勝ち続けるには必要です。

 4月の中旬に、ある鳥栖在住のサポーターが興味深い話を聞かせてくれました。
私がまだ攻撃の形出来ないね、と嘆くと彼は”だってプレスの練習しかしとらんもん”と練習を見ている人にしかわからない話を聞かせてくれました。
あれから1月半経ちましたが、誰が見ても判るくらい鳥栖には未だに攻撃の形がありません。実際に富山戦の東京PVに連れて行った同僚(鳥栖の試合を見るのは初)は「選手の質では明らかに上なのにチームとして機能していない。
ボールを持っていないときの動きが無い。得点の香りがしない」と非常に的確な分析をされていました。開幕からずっとサガン鳥栖のサッカーはそういう状態ですが、現在サガン鳥栖はどんな練習をしているのでしょうか?
草津戦のように大量得点もあったじゃないか、という反論があるかもしれませんが、重要なのは継続性で、勝ち続けるには(=昇格するには)今出来ている守備だけでなくボールを運ぶ事とゴールを決める事に関して、出来る出来ないは別にしろぼんやりとした型でもいいから必要だと言う事です。選手のフィーリングだけでうまく行った(と断言するのは危険ですが)草津戦のあと、既に4試合経ちましたが果たして鳥栖はそのあと明確な目的を持った攻撃は出来ていたでしょうか?そういう攻撃の形を作る必要があり、その為には攻撃の形の骨格を作る練習が必要だと言う事です。

私は毎日練習を見に行ったりする事は出来ないので、試合で判断するしかないのですが、チームに攻撃の形が無く連動性が見られない以上、サガン鳥栖は少なくとも攻撃に関してまともに共通理解が出来ていない、基本的な動き・約束事が確立できていないと言わざるをえません。
1クール17試合経ち、それでもそのような一般的な約束事の片鱗が見えないという事は、チームをまとめる監督・コーチ陣の指導に何らかの問題が有るとしか思えません。藤田の居ないチームで藤田の居るサガン鳥栖を目指しても駄目だという結論は1クールの惨状で出ています。
今週はハーフナーマイクという長身選手を獲得しましたが、彼は藤田ではありません。ハーフナーマイクなのです。もしかすると今居る選手よりも藤田役をうまくこなしてくれるかもしれません。しかし彼は藤田ではないのです。果たしてハーフナーマイクと言う長身選手をサガン鳥栖はどう活かすのか。山瀬弟もまだその才能を活かせていませんが、彼らを擁してサガン鳥栖は何をやりたいのか。
それが"藤田"サッカーであれば、この先も明るい展望は描けない。そう私は考えています。

昇格を目指すには1試合を勝つのではなく、勝ち続ける事、勝ち続ける為の型をしっかりと確立してもらいたいと思います。そして一刻も早く「得点の香りがするサッカー」を「継続して」見せて欲しいと思います。

リーグはまだ2/3もあるのですから、諦めるには早すぎます。

(続編へ続く)
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